志望校が定員割れしているという情報を目にして、合格できるかどうか気になっている受験生や保護者は少なくありません。
倍率が1.0を下回っているなら全員合格できるはずと考えがちですが、実際はそう単純ではない部分もあります。
正しく理解しないまま定員割れという情報だけを頼りに受験を進めると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。
高校受験は定員割れの状況であっても、仕組みと注意点を正しく理解したうえで準備を進めることが大切です。
高校受験は定員割れなら合格できる?
高校受験で定員割れが起きている場合、基本的には合格しやすくなりますが、合格基準点(足切り点)を設けている学校では定員割れでも不合格になるケースがあります。
定員割れとは、高校が設定している募集定員に対して、出願者数がそれを下回っている状態です。
出願倍率(出願者数÷募集定員)が1.0を切ると定員割れとなり、例えば定員100人に対して70人しか出願していない場合、出願倍率は0.7になります。
競争率が下がることで合格しやすくなる一方、学校によっては「この点数を超えていない生徒は入学させない」という合格基準点を設けており、定員割れであってもその基準を下回ると不合格になります。
東京都立高校や神奈川県の公立高校のように足切り点が設定されていない学校では、定員割れした場合に受験者が全員合格することが基本とされていますが、試験を欠席したり面接を受けなかったりした場合は不合格となります。
このように、高校受験で定員割れが起きている場合、基本的には合格しやすくなりますが、合格基準点(足切り点)を設けている学校では定員割れでも不合格になるケースがあります。
まず、なぜ定員割れという状況が生まれるのか、その背景を見ていきましょう。
高校受験の定員割れが起こる理由
高校受験の定員割れが起こる主な理由は、少子化による受験者数の減少と、高校をとりまく環境の変化です。
日本の少子化は進行しており、2023年の合計特殊出生率は過去最低水準を更新しました。
中学校卒業者数や高校の入学志願者数も減少傾向にあり、かつては競争率が高かった学校でも受験者が集まりにくくなっているケースが増えています。
特に地方や過疎地域では、近年定員割れを起こす公立高校が急増しており、都市部でも一部の公立高校で同様の傾向が見られます。
また、私立高校の授業料が実質無償化される方向に進んでいることで、公立・私立を問わず選択肢が広がり、特定の公立校への志願者が分散しやすくなっていることも、定員割れの一因になっています。
学校側の設備やカリキュラムの魅力の差が可視化されやすくなった結果、人気の集まる学校とそうでない学校との格差が広がっている側面もあります。
このように、高校受験の定員割れが起こる主な理由は、少子化による受験者数の減少と、高校をとりまく環境の変化です。
定員割れが起きていても全員合格できるわけではないという点について、社会的に問題になっているケースも見ていきましょう。
高校受験における「定員内不合格」という問題
高校受験における「定員内不合格」とは、定員割れにもかかわらず不合格となる受験生が出るという問題であり、全国の公立高校で延べ1,631人がこの状況に置かれたという報道があります。
定員内不合格が発生する主な理由は、学力試験の点数が合格基準点を下回っていた場合に加え、面接や調査書(内申書)の評価が著しく低いと判断された場合などが挙げられます。
「学ぶ意欲が見られなかった」という評価を理由に定員割れの学校で不合格になった事例が保護者による訴訟に発展したケースも報告されています。
都道府県ごとに定員内不合格に対する方針は異なります。
「募集人員まで合格とする」という考え方に基づいて定員内不合格を出さない対応を取る自治体がある一方、「募集人員を上限として合否を判断する」という立場から一定の基準を下回れば不合格とする自治体も存在します。
特に定時制や一部の通信制高校で定員内不合格が起こりやすいとされており、障害のある受験生が不合格になるケースもあったとして、支援団体からの問題提起も行われています。
このように、高校受験における「定員内不合格」とは、定員割れにもかかわらず不合格となる受験生が出るという問題であり、全国の公立高校で延べ1,631人がこの状況に置かれたという報道があります。
定員割れかどうかを正確に把握するには、倍率の数字を正しく読む必要があります。
高校受験で出願倍率と実質倍率の違いを理解する
高校受験で定員割れかどうかを判断するには、出願倍率と実質倍率の違いを正しく理解することが重要です。
出願倍率は「出願者数÷募集定員」で計算され、1.0を切ると定員割れとなります。
一方、実質倍率は「受験者数÷合格者数」で計算され、実際の競争の激しさをより正確に示します。
学校側は合格後に辞退する生徒が出ることを想定し、定員より多めに合格者を出すことが多いため、実質倍率は出願倍率より低くなるのが一般的です。
実質倍率と出願倍率の差が小さい学校ほど、志望する生徒が多い人気校である可能性が高いといえます。
また、過去に二次募集や後期募集、欠員補充の実績がある学校は、定員割れが起きやすい傾向にあります。
各都道府県の教育委員会のホームページで一次募集の後に二次募集の対象校が発表されるため、事前に確認しておくと参考になります。
ただし、倍率は年によって変動するため、前年度の結果だけで今年も定員割れになると判断することはできません。
このように、高校受験で定員割れかどうかを判断するには、出願倍率と実質倍率の違いを正しく理解することが重要です。
定員割れの高校に入学した後にも、知っておくべきリスクがあります。
高校受験で定員割れの高校に入学した後のリスク
高校受験で定員割れの高校に入学した後のリスクは、在学中にクラス数の削減や学校の統廃合が起こる可能性があることです。
定員割れが毎年続く学校では、生徒数の減少に伴い、クラス数が削減されることがあります。
クラス数が減ると、選択できる授業の幅が狭まったり、部活動の種類が減ったりするなど、学校生活の選択肢が狭まっていく可能性があります。
さらに深刻なケースでは、生徒数の減少が続いた末に近隣の学校との統廃合が決定し、在学途中で学校がなくなったり、校名や校風が大きく変わったりすることもあります。
また、定員割れが続いている学校は、大学進学実績や就職支援の面でも、生徒が多く集まる学校と比べて環境に差が出やすいことがあります。
こうしたリスクを事前に理解したうえで、本当にその学校が自分に合っているかどうかを判断することが大切です。
このように、高校受験で定員割れの高校に入学した後のリスクは、在学中にクラス数の削減や学校の統廃合が起こる可能性があることです。
最後に、定員割れの学校を受験する際の適切な心構えを確認しておきましょう。
高校受験で定員割れの高校を受験する際の心構え
高校受験で定員割れの高校を受験する際の心構えは、倍率の低さだけを理由に志望校を選ぶのではなく、最低限の対策を怠らずに臨むことです。
「定員割れしているから受験勉強をしなくても大丈夫」という考えは危険です。
合格基準点が設けられている学校では、最低限の点数を確保しなければ不合格になる可能性が残っています。
また、受験勉強は合格のためだけでなく、入学後の授業についていくための土台でもあります。
低い点数で入学した場合、入学後の学習に苦戦しやすくなるという側面も忘れてはいけません。
志望校を選ぶ際は、定員割れかどうかという数字よりも、「自分がその学校で3年間充実した時間を過ごせるか」という視点を最優先にすることが、後悔しない高校選びにつながります。
このように、高校受験で定員割れの高校を受験する際の心構えは、倍率の低さだけを理由に志望校を選ぶのではなく、最低限の対策を怠らずに臨むことです。

